1966年に初代カローラが登場してから50年以上、全世界で累計販売台数5000万台以上を販売しているトヨタのカローラ。
世界中の人から愛されるカローラは、ライフスタイルの変化に応じて、さまざまなモデルが登場してきました。
人と時代・社会に合わせて「カローラ」「カローラ スポーツ」「カローラ ツーリング」「カローラ クロス」「GR カローラ」と進化してきたカローラシリーズ。
今回の記事では、そんなカローラシリーズの特徴や魅力を解説させていただきます。
トヨタ・カローラの特徴について
概要
1960年代に大衆車として登場したカローラは1974年に車名別世界生産台数1位、1997年には累計販売台数でギネス認定も受けた、世界的なロングセラー車です。
2021年には世界累計販売台数5,000万台を突破しました。同シリーズはトヨタの中心的存在で定期的なモデルチェンジを行い、現在は12代目が現行モデルです。
種類が豊富でセダンタイプからスポーツタイプ、業務用まで幅広い用途に対応したシリーズを販売しています。
現行モデルのすごさ
カローラの現行モデルの特徴としては、ボディタイプの豊富さ、優れた走行性能や先進技術を搭載しているものの比較的安価なことなどがあげられます。
また、カローラシリーズは法人向けのカローラフィールダーとアクシオを除いた車種で、12代目から世界共通プラットフォームを基幹とするTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャ)という車両作りの開発方針で基本性能や商品力の飛躍的向上を図りました。先進装備も時代に合わせて導入されていて、カローラは全グレードにToyota Safety Senseが搭載されています。
プリクラッシュセーフティ(直進時の衝突回避・被害軽減をサポート)などの安全予防設備の他に運転支援設備であるレーダークルーズコントロールも装備、さらにドライバーの異常を感知して停車するシステム(ドライバー異常時対応システム)もあり、高齢者にも安心なつくりになっています「ドライバー異常時対応システム」は一部のガソリン車にはついていませんが、その他のサポート機能はついています(フィールダーとアクシオはレーダークルーズコントロールとドライバー異常時対応システムは無し)。
値段とのバランスを考慮するとコスパのよい車種であると言えるでしょう。
トヨタ・カローラの車種・値段レンジは?
トヨタでは、主に法人向けとなっている2車種を除いた5車種(カローラ、カローラスポーツ、カローラツーリング、カローラクロス、GRカローラ)を、人と時代・社会に合わせて変化した「5つのスタイル」と表しています。
価格表
車種名 | 価格 | 燃料消費率(WLTCモード) | |
カローラ | ガソリン | 2,028,600円(税込)~2,518,300円(税込) | 18.1km/L~19.4km/L |
ハイブリッド | 2,418,600円(税込)~3,338,300円(税込) | 25.3km/L~30.2km/L | |
カローラスポーツ | ガソリン | 2,210,000円(税込)~2,728,100円(税込) | 17.2km/L~18.3km/L |
ハイブリッド | 2,470,000円(税込)~2,978,100円(税込) | 27.2km/L~30.0km/L | |
カローラクロス | ガソリン | 2,184,000円(税込)~2,900,000円(税込) | 16.6km/L |
ハイブリッド | 2,760,000円(税込)~3,459,000円(税込) | 24.5km/L~26.4km/L | |
カローラツーリング | ガソリン | 2,108,600円(税込)~2,568,300円(税込) | 17.8km/L~19.1km/L |
ハイブリッド | 2,498,600円(税込)~3,388,300円(税込) | 24.9km/L~29.5km/L | |
GRカローラ | ガソリン | 5,250,000円(税込) | 12.4km/L |
カローラフィールダー | ガソリン | 1,786,400円(税込)~2,059,800円(税込) | 15.6〜19.8km/L |
ハイブリッド | 2,359,000円(税込) | 27.8km/L | |
カローラアクシオ | ガソリン | 1,639,600円(税込)~1,913,000円(税込) | 15.6km/L〜19.8km/L |
ハイブリッド | 2,205,600円(税込) | 27.8km/L |
車種特徴(現行モデル)
カローラ 1960年代から続くカローラブランドの基本形となるセダンタイプ。コンパクトタイプのセダンで扱いやすく、なおかつ最新のプラットフォームを採用し、さらに安全性も高くなっています。
カローラスポーツ コンパクトハッチバック。低重心であることにより走りは安定しているが、全長は他の車種よりも短いため取り扱いやすく軽快に走ることもできます。
カローラツーリング トヨタの世界共通プラットフォームを採用し、以前はフィールダーと呼ばれていたステーションワゴンをツーリングと変更しました。これにより外観も業務用の実用性に特化した形からスポーティで低重心なものへと変わり、走行性能が従来モデルと比較してもかなり向上しました。
ボディもワイド化しましたが、荷室は最大802Lまで拡大可能でステーションワゴンとしての長所も維持しています。
最上位モデルでも285万円~という手ごろな価格でありながら走行性能や安全性に信頼のおけるステーションワゴンはカローラツーリング以外にはなかなかないでしょう。
カローラクロス カローラシリーズ初のSUVで2020年にカローラシリーズに追加、日本では2021年9月から発売されました。コンパクトでありながらトヨタの他のSUVと比較しても後部座席や荷室が広く、日常的にも使い勝手が良好です。
また、他のカローラシリーズよりも車幅が大きく荷室の開口部に関しても地面から72cmの高さに設定してあり、荷物の出し入れが容易にできます。全長やホイールベースが同じのカローラツーリングと比較すると、クロスの方が全幅80㎜大きく全高も160㎜大きいつくりになっています。
SUVのクロスは全高を高めに設定してあるため乗車位置も高く、運転席からの視界も広く周囲を見渡しやすくなっており、また、全高が高い分室内高も100㎜高く設定されており、頭上にゆとりのある広々した空間が広がります。
設定最大限ハンドルを切った状態で旋回したときに、外側のタイヤの中心が描く円の半径である最小回転半径はツーリングが5.0m~5.3m、クロスは5.2mで、両者とも狭い道や駐車場での取り回しがしやすくなっています。クロスの最小回転半径については、一回りも小さいサイズのヤリスクロスよりも小さく、扱いやすい車であると言えるでしょう。
GRカローラ
カローラスポーツをベースにしたスポーツカー。2022年モリゾウエディションは限定70台、RZは限定500台の抽選販売が行われ、2023年に550台が再販されましたが、現在抽選は終了しています。3ペダルの6速MT車ですが、最新のToyota Safety Senseが搭載されていて運転支援技術や安全面でも安心です。
カローラフィールダー
ビジネス用のステーションワゴン。優れた走行性能と車内空間の広さ・快適さによりステーションワゴン部門で高い販売比率を占めました。装備の面でもサイド・カーテンエアバッグやプッシュボタンスタートシステムが全車標準装備されている。
カローラアクシオ
カローラフィールダーと同じくビジネスに特化したモデル。コンパクトタイプのセダンながら室内は高さがあり、ゆとりを感じることのできる空間となっています。取り回しのしやすいコンパクトな5ナンバーサイズのセダンとして一定の業務用の需要があります。
トヨタ・カローラの人気シリーズは?
2023年販売実績
出典:トヨタ新車販売台数の推移 – 株式会社アイディーインフォメーション(参照2024.4.18)
販売実績 |
||
車種名 | ガソリン車 | ハイブリッド車 |
カローラ | 3,350台 | 10,580台 |
カローラスポーツ | 3,290台 | 8,280台 |
カローラクロス | 15,330台 | 52,020台 |
カローラツーリング | 5,390台 | 35,080台 |
GRカローラ | 550台 |
現行モデルで一番売れているのはカローラクロスです。カローラシリーズ全体の販売台数の約5割を占めています。昨今のSUV人気や、初心者でも乗りやすい安定感のある走行性能、小さすぎず大きすぎないちょうどいいサイズ感も人気の秘訣なのでしょう。
トヨタ・カローラの人気の秘訣は?
漫画にも登場
カローラレビンの姉妹車であるスプリンタートレノという小型クーペ型乗用車がありますが(大きな違いは販売チャネルとエクステリアくらい)、しげの秀一作の『イニシャルD』という漫画に主人公の愛車として登場します。
走る楽しさを重視して後輪駆動を採用した同社にはシングルカムエンジンとツインカムエンジンがあり、このエンジンの違いでAE86シリーズとAE85シリーズにわかれます。AE86 は「ハチロク」と呼ばれており、漫画の中でもとんでもない活躍を見せてくれます。
溝落としやブラインドアタックという奇想天外な技もあって、それもカローラの魅力の一部としていいのかもしれません。中古車価格も値上がりしているようです。
世界でも人気
1966年に日本で販売開始されてから程なくオーストラリアへの輸出がはじまり、現在では世界150か国以上で販売されています。海外メディアのAFPによって、中東のアフガニスタンでも多くのカローラの姿を見ることができると伝えられました。社会情勢が不安定な同国でも、カローラの走行性能と強靭な鋼板が非常に信頼されているとのこと。シンプルでどのような状況にも対応できる信頼感から選ばれているのだと思われます。
出典:販売実績トヨタ新車販売台数の推移 – 株式会社アイディーインフォメーション(参照2024.4.18)
また、カローラは初代から部品を輸出して現地で組み立てるというノックダウン生産が行われており、関税やコストを抑えることが可能となりました。それもカローラが世界に広まった一因となっているのでしょう。
80点主義+α主義
カローラにはトヨタの車づくりにおける「80点+α主義」という思想が採用されています。
「落第点があってはいけないのが80点主義ですが、全部が80点でもだめで、90点を超えるものがいくつかなくてはならない」と初代カローラ開発主査であった長谷川龍雄氏が語っています。
出典:トヨタ | カローラ 世界中で愛されて、5000万台 | 歴代カローラ | トヨタ自動車WEBサイト(参照2024.4.18)
初代カローラは当時の一般的な大衆車の排気量1,000㏄に対し1,100㏄とするなど、走行性能や価格、内装の豪華さなどバランスの取れていてかつ少し贅沢な車として売り出しました。
大衆車としての歴史
出典:AFP「美しきカローラ」 アフガンで愛されるトヨタ車 写真11枚 国際ニュース:AFPBB News(参照2024.4.18)
引用:お客様とともに半世紀:カローラが歩んだ50年の道のり カローラ生誕50年特設サイト | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
1960年代、この時代カラーテレビ・クーラー・カー(自家用車)が「新三種の神器」や「3c」といわれ、人々のあこがれの対象でした。
そのような時代背景の中、「自動車をみんなのものに」というトヨタ創業以来の理念のもと初代カローラは1966年の東京モータショーに日産サニーとともに登場します。東名高速道路も1968年に開通し、さらに庶民に車が広がるきっかけとなり、後に1966年は「マイカー元年」と呼ばれることになります。3代目カローラは安全性確保のためサイズを大きくし、排ガス規制などの問題にも対応した仕様になりました。
カローラは元々FR(後輪駆動)でしたが、5代目からは世界で主流になりつつあったFF(前輪駆動)をセダン系で採用することになり、広い室内空間を実現しました。ちなみにカローラレビン、姉妹車のスプリンタートレノはFRを維持しスポーティモデルとして設定されました。
7代目はバブル期絶頂期ということが影響し高級感あふれるつくりとなっていましたが、8代目からはバブル崩壊もあり原点回帰ということでシンプル化が図られることになります。12代目からは世界共通プラットフォームを採用しこれを基幹とするTNGAで商品力の飛躍的向上を図りました。走りや乗り心地等の基本性能を高めたうえで、原価低減や効率化も実現するということのようです。
世界共通プラットフォーム導入で全車3ナンバーとなりましたが、アクシオとフィールダーは業務用ということもあってTNGAを導入せず、コンパクトで扱いやすい5ナンバーのままとされています。
このようにカローラの歴史を見てみると、常に時代に合わせて進化し続けていることが分かります。時代に裏付けされたカローラのモデルチェンジから人々の生活を読み取ることができます。その結果、カローラシリーズがみんなに愛される車になったのでしょう。