日本の経済産業省が、2050年には世界で新規販売する国産車を全て電動化する方針だと発表しました。
車好きの間では阿鼻叫喚となっているニュースですが、世界の動向的にはむしろ緩い政策ではあるのです。
今回は自動車電動化のそもそもの意味、そして世界の動向とガソリンが販売禁止となるであろう未来について、諸々と思うことを書き綴っていきます。
自動車電動化の意味とは?
まず日本が発表した全国産車電動化というのは、日本で走る車が全て電動化するというわけではなく、世界で販売する日本車が全て電動化を目指すということです。
ガソリンの中古車がどうなるか分かりませんが、少なくともガソリン車を地球上から排除するというわけではありません。
また電動化=EVではありません。電動化にはHV(ハイブリッド)も含まれています。
つまり全ての国産車を電動化にするということ=ガソリン車の消滅を意味するわけではありません。
HVの主燃料はガソリンなのですから。
海外メーカーの自動車電動化に関する記事
①BMW Mモデル
Mモデルとは車好きなら誰もが知っている、BMWの中でも走りに特化したハイエンドモデルのことです。
最もメジャーなのがBMW M3。
軽量コンパクトな車体に直列6気筒エンジンを搭載し、ライバルであるAMGに対してパワーで劣るものの、総合的な戦闘力ではAMGに勝るとも劣らないBMWが生み出した素晴らしい車です。
そんなMモデルも2020年代の終わりまでに全てを電動化すると発言しています。
BMWのM部門でCEOを務めるフランク・ヴァン・ミール氏は今年初め、将来的には電動化されたモデルがBMW Mから登場すると明言した。BMWは2025年までに生産する車両の40%を電気自動車もしくはハイブリッドにする計画を立てており、Mモデルもこれに沿う形になるからだ。そしてオーストラリアの自動車メディア『Car Advice』によると、ヴァン・ミール氏は先日スペインで行われた試乗会でオーストラリアのジャーナリストと会談する中で、「2020年代の終わりまでに全てのMモデルが電動化されることは間違いない」と語ったという
引用:autoblog
純然たるガソリンのみで走るMモデルの中古車市場価格が高騰する可能性は高いでしょう。
電動アレルギーの車好きは多いですからね。
それにわざわざ電動化されたMモデルに1000万円以上の金額を投じるほど価値を感じることができるのか、はなはだ疑問ですね。
恐らくパワーでは従来のモデルを超えるのでしょうが、一般人はコンマ1秒を争う世界には生きていません。
単にパワーが従来モデルよりも上回っているだけでは間違いなく売れません。
何かかつてのMモデルにはない付加価値がなければなりません。
ただでさえ電動化というディスアドバンテージを背負っているのですから。
②メルセデスAMG
AMGにはC63というモデルが存在します。
現行型はW205という型式が販売されており、V型8気筒4.0Lのツインターボエンジンを搭載しています。
次のフルモデルチェンジでW206になるわけですが、AMG代表のトビアス・ムアースは
「次のC63にはハイブリッドの搭載を検討している」
と発言しAMGもハイブリッド化への舵を切ることを示唆しています。
すでにAMG 53シリーズはマイルドハイブリッドの搭載を実現しています。
6.2Lもの大排気量NAをコンパクトセダン搭載していたAMGも、環境規制には勝てません。
世界各国やメーカーの電動化の動き
①イギリス
2040年にはガソリン車の新規販売を禁止とする方針。
ガソリンエンジン+モーターのHVは問題ないとのことです。
恐らく中古車市場には価格が高騰したハイエンドモデルのガソリン車が出回るでしょう。
空冷ポルシェの値段が高騰したのと同じように。
②フランス
イギリスと同様に、2040年にはガソリン車の新規販売を禁止とする方針です。
こちらもガソリンエンジン+モーターのHVは問題なしとする模様。
「我が国の自動車メーカーには、この約束を果たす力量が十分に備わっています。これは気候変動のアジェンダにとって絶対必要であるだけでなく、人々の健康という観点からも外せない約束なのです」
フランス:ニコラ・ユロ環境相
③ボルボ(スウェーデン)
2019年には全車種のラインナップを電動化にすることを目指す。
というのではなく、全車種に電動化したモデルをラインナップするという訳であり、純然たるガソリン車は存在し続けるわけです。
ちなみにスウェーデンではEVの自動車に関わる税金は無料、充電設備の利用も無料、高速道路の利用やカーフェリーの利用、更には公共駐車場の利用までもが無料という手厚すぎるEV保護政策が実行されています。
車好きにとっての廃刀令こと自動車電動化?
車好きの多くはガソリン車が大好きです。
HVやEVという存在は、最高の世界に侵食してくる異物として捉えている人は多いでしょう。
なぜ車好きの多くはガソリン車を愛し電動化に対して反発するのでしょうか。
その理由はガソリン車しか持ちえない大きな魅力に魅了されているからです。
ではガソリン車のみが持つ大きな魅力を2つを次の項目でお伝えします。
ガソリン車の大きな2つの魅力
①エンジンを始動した際のスタート音
運転席に座り、鍵を差しこんで捻るという何気ない動作。
プッシュスタートのボタンを押し込む瞬間。
車好きでない人にとっては何気ない動作の1つですが、車好きにとってこの瞬間は特別な時間なのです。
この瞬間に価値を感じているからこそ、車に数百万円、数千万円をつぎ込む中毒者が世の中には大勢いるのです。
僕は結婚を考えていた彼女との未来よりも、ガソリンにまみれたエモーショナルな未来を選択しました。
HVやEVではきっとそこまで僕を突き動かすことはなかったはずです。
②加速時の演出
車が回転数を上げ加速していくときのエキゾースト音。
これはガソリン車ならではの醍醐味ですね。
そして車が持つ大きな魅力でもあります。
まさしく耳が幸せになる瞬間というやつですね。
意外と多い!?電動化されたスーパーマシン
レースの世界やスーパーカーの世界では、意外と電動化が進んでいたりします。
ということで今回は電動化しているレーシングカーやスーパーカーをご紹介いたします。
①トヨタ TS050
2018年のルマン24時間耐久レースを制覇したトヨタのTS050は、実はハイブリッドマシンなのです。
レースの世界でのハイブリッドは環境規制に対応するためではなく、過給機のようにパワーを向上させる役割をも担っています。
耐久レースなので燃費も重要な要素ではありますし、ハイブリッドシステムによる重量増をその他方面でカバーする必要はあるのですが、単に燃費が良くて環境に良さそうというのがハイブリッドというわけではないのです。
②ポルシェ919
2017年のルマン24時間耐久レースを制覇したポルシェ919もハイブリッドなのです。
2018年はルマン24時間耐久レース(厳密にはWEC)から撤退してしまいましたが。
③ポルシェ918スパイダー
ポルシェが発売していた、1億円を超えるスーパーカーならぬハイパーカーポルシェ918スパイダーはなんとプラグインハイブリッドシステム(PHEV)を搭載しています。
こういったスーパーカーがPHEVやHVを積極的に搭載し、車好きに対してアピールしないとイメージの改善はできませんからね。
④AMG Project ONE
1000馬力を超えるAMG Project ONEにはハイブリッドシステム、そしてEVシステムが搭載されています。
ちなみにエンジンはF1に搭載されていたものを、そのまんま移植するというとんでもない車でもあります(笑)
ガソリン車は将来販売禁止?未来は暗いのか?
結論から言うとガソリン車の未来は暗いでしょう。
[sen]
・ガソリン車に対しての販売規制強化(中古車含め)
・ガソリン車は乗り入れ禁止となる区域の出現
・ガソリン車に対する重課税
・ガソリン車に乗っていると周囲の視線が厳しくなる
[sen]
世界的に電動化やゼロエミッションが叫ばれているため、ガソリン車の未来には上記のようなことが現実となる可能性があります。
車に対して麻薬中毒状態の人であれば周囲の視線なんて気にしないでしょうが、上記の3つは我々の力ではどうしようもありません。
世界征服でもしない限り、国や規制に対抗することは難しいのです。現実的ではないですね。
残された時間は多いようで、意外と短いかもしれません。
2040年になれば欧州方面ではガソリン車の新規販売は行わないという発表しています。
BMWのMモデルなんてあと10年もすれば全てが電動化されてしまうのです。
ガソリン車を楽しめる時間は、もうそんなに残されていないのです。
自動車電動化とガソリン車の未来のまとめ
ガソリン車の持つ魅力とはまさしく聴覚で車を楽しめることです。
ドライビングは五感で楽しむものです。
視覚、嗅覚、触覚、味覚、嗅覚・・・・・味覚は関係ないですね(笑)
その中の1つである聴覚による楽しみが奪われることを多くの車好きが危惧しているわけですね。
つまりEVやHVは聴覚によるドライビングの楽しみを付与しなければ、きっとファンは離れていくでしょう。
ガソリン車が販売されなくなければ消去法でEVやHVを買うしかないわけですが、そうなればきっと皆中古車でガソリン車を探してしまいます。
そうなる前にEVやHVが車好きの心を動かすようなブランディングを行ってほしいものですね。
EVやHVのハイエンドモデルにも魅力を感じることができるような、そんな世界なら皆平和になれますからね。